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企画制作:KATARUsis.[Theater]
脚本・ミニ小説:二山カタル

西園寺ひな:蓬ケイ様 / 新人:ぺき

【音素材お借りいたしました】
DOVA-SYNDROME様 / 効果音ラボ様

Link.
ステップブラザー、ステップフレンド。
http://katarusis.kakurezato.com/stepbrother/index.html



この物語は非実在美少女のフィクションです。
劇中内の発言や行動は現実で行うとお巡りさんを呼ばれる可能性があるのでお控えください。
ロリコンは二次元まで!! 清く正しいロリコンライフを。






【Another Story:お兄ちゃん未満】


「は、再婚?」
「そう、するかもしれないわ」

 母親の発言はわりと唐突だった。
 わりと、と言うのは「最近やたら機嫌いいよなあ」くらいの変化は察していたからだ。
 僕が生まれて20年の時が経ち、その時間の全てに「父親」という存在はなかった。なんでも、僕が生まれた時には既に父の心は別の女性にあったようで、金をたっぷりと握らされて僕らは家族である事を止めた。
 母はしっかりした人で、今日まで僕がグレずに普通の人間として成長できたのは、彼女の手腕によるところが大きい。ただ、母の中でのわだかまりが消えていない事を、僕は知っていた。その証拠に、親族に勧められた再婚の話やら、仕事先でのお付き合いの申し込みやら、男に関わる話を雪女のような冷えた目で母は今まで断り続けていた。
 そう、母はモテるのである。僕と違って。
 だから、今度こそはいい男を捕まえて幸せになってもらいたい。

「……良かった」
「あらぁ、喜んでくれるの? 皮肉の一つでも言われるかと思った」

 僕らはこたつに入って、ミカンを剥きながら話す。

「言わないよ。でも、こんな図体のでかい子持ちになるの、相手の人はいいって言ってくれたの?」
「それは大丈夫よ、むこうも娘さんがいるの」
「へー……いくつくらいなの?」
「確か、8歳だったかしら」
「はっ……さい……!?」

 僕は言葉を失った。色々な意味で。

「相手の人は、奥さんを病気で亡くしたの。だから……ひなちゃんも、あ、その子、ひなちゃんって言うんだけれど。やっぱり、私のこと、受け入れてくれないかもしれなくて……」
「だから、再婚するかも、って言ったんだ」
「ええ。無理にあの人と一緒になったら、ひなちゃんが可哀想だもの」

 そう言って、母は少し寂しそうに笑った。

「大丈夫だよ、母さん。きっと慣れれば変わるさ」
「そうかしらねえ」
「僕の自慢の母上ならいつの間にか打ち解けてるよ。あと、その……ひなちゃんって、可愛い?」
「すっごい可愛いわよ〜、写真貰っちゃったの。見る?」

 母は手元の手帳から写真を一枚取り出した。
 そこには、ツインテールの小柄な少女が伏し目がちに座っていた。

「…………」
「ね、可愛いでしょ?」
「――あ、うん。そうだね。可愛いね」
「何、その変な間。どうかしたの?」
「いや、何でもない。あっ、課題やんないと。ミカンごちそうさま!」

 僕は立ち上がって、自分の部屋に入った。そして顔を覆って座り込んだ。

「どうしよう……メチャメチャ可愛い……」

 そのままひとしきり床を転げ回ってから、僕は高校時代の友人に電話した。

「あ、もしもし、桑田!? 脱オタってどうすんの!!?」
「はあ? お前年末に何言ってんの?」
「いや、脱オタはともかくロリ属性ってどうすれば治る!?」
「病院逝け」
「そうか、病院……その手があったか! まだ病院やってるとこあるかな!?」
「おいおい、マジに受け取んなよ、引くわー」
「ち、ちくしょう……大学デビューの癖に僕より先にリア充になった野郎に訊くんじゃなかった!!」
「そんな事言われても……」
「ええい、貴様に構っている暇などない! 良いお年を!!」

 携帯の電源を切って布団に放り投げる。そして僕自身も倒れ込んだ。

「はぁー……もし、もしも……あの子と暮らすことになったら……」

 写真を見た時、本当は「可愛い」よりも先に別の感情が芽生えていた。

「……寂しそうだったな、あの子」

 伏せられた瞳は、カメラを恥ずかしがっているのではなく、外の世界を拒絶しているように見えた。僕が忘れていた感情を、彼女は今、背負っている。
 ずっと一緒にいるはずだった家族がいなくなるのは、寂しい。というより、寂しいだけで済まない。
 小さい頃、同級生に「どうしてお父さんがいないの?」と不思議そうに訊かれた時、僕は何も答えられなくて、その事実が胸を締め上げてきて、過呼吸になったことがあった。

 ――どうして家族なのにいなくなってしまうんだろう?

 それは、僕が家族というものを特別に考えすぎているせいだろうか。
 写真の女の子の姿が脳裏からどうしても消えなかった。
 彼女の兄になれるかどうかは分からない。でも、一日だけ兄妹ごっこをしてみたい、と僕は思った。
 お兄ちゃん未満の僕にでも、何かできる事があるかもしれない、と。

 僕は起き上がり、母のいるリビングへと再び歩いて行った。

 〈了〉







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